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□■研究概要■□

 有機化合物をベースとしたメゾスコピック化学の理解とメゾスコピック材料開発の基礎研究を行う。研究は、オリゴマーからポリマーまでの構造を制御した分子設計と精密合成、それらの分子組織化、構築した超分子の分光機器を用いた分子レベルでの解析、機能材料としての評価と新規材料への展開、のプロセスのもとに進められており、キーワードにまとめると次のようになる。

 生体関連高分子の精密合成 / 分子組織化 / 超分子 / 機能材料

□■研究内容■□

1.目指す超分子のサイズは?

 ナノメーターからサブミクロンまでのスケールで規則的構造を有する領域が注目を浴びている。この領域はメゾスコピック系と呼ばれ、理化学事典によると、このような対象は、ミクロでもなくマクロでもない,およそ1辺が1μm〜1nm程度の領域をさす、と説明されている。しかし、メゾスコピック系で重要なことはその大きさではなく、その大きさ故に引き出される物性にある。

2.お手本は?

 高度な機能を発現している生体系を調べてみると、ある機能発現のために必要なユニットのサイズが、サブミクロン程度の範囲にある。例えば、環境とのインターフェースとして情報処理を担う細胞膜、タンパク質合成装置であるリボソーム、エネルギー変換を行うミトコンドリア、様々な酵素系を含むミクロソーム等、枚挙にいとまがない。

3.超分子を組み立てるための出発化合物は?

 超分子のサイズをナノメーター以上に設定すると、構成分子にはある範囲の大きさが要求され、必然的にオリゴマーあるいはポリマーが候補に挙がる。次に、超分子の物性解明や機能発現を考えると、構成分子が規則正しく組織化されていることは当然であるが、構成分子そのものがはっきりした均一の構造をとっている必要がある。このような様々な要求を満たす有機分子として、本研究室ではポリペプチドをはじめとする生体関連高分子を主に取り上げている。

4.超分子の機能は?

i) らせん構造をとるポリペプチドを同じ分子方向で垂直配向になるように固定化し、ポリペプチド薄膜を調製できると、非常に大きな表面電位が薄膜に形成され、圧電性や焦電性を示すと考えられる。

ii) 光合成の初期過程では、チラコイド膜表面に配列したアンテナクロロフィル間でのエネルギー移動により電荷分離が行われる。分離された電荷はタンパク質複合体からなる電子伝達系により効率よく膜の両側に分離される。この効率のよい電子移動は、タンパク複合体中により実現されており、このモデルとなるらせん構造ポリペプチドには電子伝達能等が期待される。

iii) らせん構造ポリペプチドは、大きな分子超分極率(β)を有しており、らせん構造ポリペプチド薄膜は有用な非線形光学材料となろう。

5.意義は?

 このようなサイズの機能分子システムを理解することは生命現象を解明することにつながるだけでなく、近未来の情報社会を担うために必要と考えられる、分子をベースにした新規な機能材料開発につながるであろう。

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